生後4ヶ月の睡眠退行にどう対応する?原因と月齢に合った具体的なヒント
生後4ヶ月頃の睡眠変化と「睡眠退行」について
生後3ヶ月頃まで比較的安定していた赤ちゃんの睡眠が、生後4ヶ月頃になると突然崩れたように感じるという声は多く聞かれます。夜中に頻繁に起きるようになったり、寝つきが悪くなったり、お昼寝が短くなったりといった変化です。これは「睡眠退行」と呼ばれる現象の一つである可能性があり、多くの赤ちゃんが経験すると言われています。
特に二人目のお子さんの場合、上の子との生活リズムの違いや、以前の経験と異なり戸惑うこともあるかもしれません。しかし、この時期の睡眠の変化は、赤ちゃんの心身の発達における自然な段階であることが多いです。
この記事では、生後4ヶ月頃の睡眠退行の原因と考えられる要因と、この月齢の赤ちゃんに合った具体的な対応策やヒントをご紹介します。二人目育児ならではの視点も踏まえながら、この一時的な時期を乗り越えるための一助となれば幸いです。
なぜ生後4ヶ月頃に睡眠が不安定になるのか?
生後4ヶ月頃の睡眠退行には、いくつかの要因が考えられます。これは後退ではなく、むしろ成長の証と捉えることができます。
- 睡眠サイクルの変化: 新生児期の2つの睡眠段階から、大人に近い4つの睡眠段階(ノンレム睡眠とレム睡眠)に移行し始めます。これにより、睡眠が浅くなるタイミングが増え、夜中に目が覚めやすくなると言われています。
- 脳の発達: 認知機能が発達し、周囲への関心が高まります。これにより、眠りにつくのが難しくなったり、夜中に覚めた際に刺激を求めて泣いたりすることがあります。
- 運動能力の発達: 寝返りなどを始める子もおり、寝ている間に体を動かしてしまうことで目が覚めることがあります。新しい体の動かし方を練習しているのかもしれません。
- 日中の刺激: 起きている時間が長くなり、さまざまな刺激を受けます。この刺激が脳を活性化させ、睡眠に影響を与えることもあります。
- 生活リズムの形成: この頃から徐々に昼夜の区別がついてきますが、まだ完全にリズムが整っていないため、時間帯によって眠りの質が不安定になることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、一時的に睡眠が不安定になることが多いと考えられています。
生後4ヶ月頃の睡眠退行への具体的な対応策
生後4ヶ月頃の睡眠退行に対応するためには、この月齢の赤ちゃんの発達に合った環境づくりと働きかけが重要です。以下に具体的なヒントを挙げます。
1. 安定した生活リズムを意識する
完全に毎日同じ時間にとはいかなくても、大まかな日中のスケジュールを決めることで、体内時計を整える手助けになります。
- 朝の開始時間: 毎日ほぼ同じ時間に朝日を浴びさせて一日をスタートさせます。
- お昼寝の時間と長さ: 生後4ヶ月頃の赤ちゃんは、一般的に1日に数回お昼寝をします。お昼寝が短すぎる場合は睡眠不足につながることがありますが、逆に夕方以降に長く寝すぎると夜の寝つきに影響することもあります。それぞれのお子さんに合ったバランスを見つけることが大切です。合計のお昼寝時間も、月齢に応じた目安(例えば3〜5時間程度など)を参考に調整します。
- 授乳や離乳食の時間: 大きな時間帯を決め、規則正しく与えることを心がけます。
- 就寝時間: 毎日同じ時間に寝る準備を始め、可能な限り同じ時間に寝床につかせます。
2. 理想的な睡眠環境を整える
睡眠の質は環境に大きく左右されます。
- 寝室の暗さ: 夜間やまとまったお昼寝の際は、光が入らないように遮光カーテンなどを利用し、真っ暗に近い状態を作ります。脳は暗さを感知して睡眠ホルモン(メラトニン)を分泌すると言われています。
- 室温と湿度: 赤ちゃんが快適に眠れる室温(一般的に夏場は25〜28℃、冬場は20〜23℃程度が目安とされることが多いです)と湿度を保ちます。
- 音: 無音よりも、ホワイトノイズや自然音などの定常的な音の方が、外部の突発的な音(上の子の声や生活音など)を遮断し、赤ちゃんが落ち着きやすい場合があります。必要に応じて取り入れてみるのも良いでしょう。
3. 落ち着ける入眠ルーティンを作る
毎日同じことを繰り返すことで、「これをしたら眠る時間だ」と赤ちゃんが認識しやすくなります。
- 寝る時間の30分〜1時間前から、照明を落とし、静かな環境を作ります。
- 絵本の読み聞かせ、優しいマッサージ、子守唄、お風呂などが一般的なルーティンとして取り入れられています。上の子と一緒に絵本を読んだり、歌を歌ったりするのも良いでしょう。
- 授乳やミルクで寝落ちする習慣がある場合は、少し早めに切り上げて、眠たいけれど起きている状態で寝床に置く練習を始めることも検討します(いわゆる「眠たいけど起きている状態(drowsy but awake)」)。
4. セルフねんねを優しく促す
生後4ヶ月頃になると、少しずつ自分で眠りにつく力を育むことが可能になります。
- 眠りかけの赤ちゃんを抱っこや授乳で完全に寝かしつけるのではなく、眠たいサイン(目をこする、あくびをするなど)を見せたら、落ち着いた状態でベッドに置きます。
- 泣いてもすぐに抱き上げるのではなく、数分間様子を見ることから始めます。背中をトントンしたり、優しく声をかけたりするだけに留めるなど、段階的に試すことができます。これは「ネントレ(ねんねトレーニング)」と呼ばれる手法の一つであり、様々な方法があります。ご自身の考え方や、お子さんの気質に合った方法を無理なく試すことが大切です。
5. 夜中の対応を最小限にする
夜中に赤ちゃんが目を覚ましても、すぐに反応せず、数分間様子を見ます。
- 本当に空腹で泣いているのか、単に眠りが浅くなって一時的に目を覚ましているだけなのかを見極めます。
- 夜中の授乳が必要な場合でも、電気をつけず、話しかけず、おむつ替えも必要最低限にするなど、昼間との違いを明確にします。「夜は寝る時間」という認識を促すためです。
6. 日中の活動を充実させる
日中に十分に活動することで、夜間の睡眠の質が高まることがあります。
- 安全な場所で、手足を自由に動かせる時間を作ります。
- 適度に外に出て、太陽の光を浴びたり、新鮮な空気を吸ったりします。
- 遊びを通して、五感を刺激します。
二人目育児ならではの工夫と視点
上の子がいる家庭では、下の子の睡眠トラブルに対応する上で特有の課題があるかもしれません。
- 上の子とのスケジュール調整: 下の子のお昼寝時間を上の子のお遊びや学習の時間に充てるなど、両方の生活リズムのバランスを取る工夫が必要になります。下の子の寝かしつけ中、上の子には静かに遊んでもらったり、パパや他の家族に協力してもらったりすることも有効です。
- 上の子への説明と協力: 上の子に「赤ちゃんは今おねんねの時間だよ」と優しく説明し、静かに過ごすことへの協力を促します。赤ちゃんのお世話に一緒に参加してもらうことで、理解が進むこともあります。
- 親自身の休息を優先する: 二人のお子さんのお世話で忙しい中、ご自身の睡眠時間が削られがちです。パパや家族、あるいは一時保育やファミリーサポートなどの外部の支援も積極的に利用し、可能な限り休息の時間を確保することが重要です。完璧を目指しすぎず、「今日はこれだけできれば十分」と割り切ることも大切です。
- 上の子の時との違いを受け入れる: お子さんの気質や成長のペースは一人ひとり異なります。上の子の時はこうだったのに、と比べすぎず、目の前にいるお子さんのサインをよく観察し、その子に合った対応を見つけていく視点も役立ちます。
まとめ
生後4ヶ月頃に多くの赤ちゃんに見られる睡眠退行は、成長の過程で起こりうる一時的な現象である可能性が高いです。この時期の睡眠の変化に戸惑うこともあるかもしれませんが、赤ちゃんの心身の発達を温かく見守りながら、月齢に合った具体的な対応策を試していくことが大切です。
安定した生活リズム、快適な睡眠環境、そして穏やかな入眠ルーティン作りは、赤ちゃんの眠りをサポートする上で基本的な要素となります。加えて、日中の活動を促したり、夜中の対応を最小限に留めたりといった具体的な工夫も有効です。
二人目育児においては、上の子との生活リズムの調整や、ご自身の休息確保といった視点も重要になります。焦らず、ご家族で協力しながら、それぞれの家庭に合ったペースで乗り越えていくことを応援しています。
もし、赤ちゃんの睡眠トラブルが長期間続く場合や、赤ちゃんの様子にご心配な点がある場合は、かかりつけの医師や専門機関に相談することも検討してみてください。